2017/02/17
オフィスけやきの久米です。9月もあと数日で終わり。季節はもうすっかり秋ですね。そして秋といえば食欲の秋。飲食店巡りが楽しくなる季節です。
さて今回は飲食店経営についてです。
個人が飲食店を出店する際に多いのは、いままで人から雇われて店主ないし料理長をやってきて、ある程度経験と資金がたまったので独立開業した、というパターンです。この場合、たいていその人は高い調理スキルを有していることが多いです。
意外と思われるかも知れませんが、このパターンで出店したお店はうまく行かないことが多々あります。いちばんうまく行かないのは飲食と全く関係ない業種で働いてきたサラリーマンが脱サラして数ヶ月だけ修行して出店するケースなのですが、それに次いで多いケースと言えます。
なぜか?
それはお客さんが満足する度合い(顧客満足度)を決めるのは料理の味だけではないからです。もっとはっきりいうと料理の味は顧客満足度に関してはあまり影響を与えません。もちろん不味いのは論外ですが、そこそこ美味しければ十分で、それ以上を求めるのはビジネスというよりはもはや趣味の世界です。料理の味と比べて顧客満足度に大きく影響を与える要素というのは、お客さんの利用動機への適合度、店舗コンセプトの魅力、内装・外装・接客・商品構成による店舗コンセプトの表現度などです。
ところが調理スキルが高いと、得てして自店のお客さんは自分の料理の味に満足して通ってくれているんだと考えてしまいがちです。自分が一番こだわっている点を高く評価してもらいたいというのは当たり前の心理です。とはいえ、趣味の店ならともかくビジネスとして飲食業を営みたいと考えているのなら、この当たり前の心理を乗り越えて、顧客視点での満足度を高める努力をしていく必要があります。
お客さんは料理コンテストの審査員をしに来店しているのではありません。なかにはそういうお客さんもいるかもしれませんが、そういうお客さんだけを集めて経営が成り立つほどのビジネス規模にするとなると、ブランド構築に相当なコスト(時間と費用)を払う必要があります。
私がおすすめしているのは、「最初から自分は調理場に立たない前提でビジネスを組み立てる」というものです。料理人を雇い、自分はあくまで経営者としてビジネス全体を俯瞰するようにします。立ち上げ当初の人件費はかさみますが、経営者は料理以外のことに多く関われるので経営者としてのスキルが上がりますし、のちのちの多店舗展開の際にも大きな組織変更をしなくてすみます。ビジネスとして飲食業を営むのであればぜひともこの方式を行ってもらいたいです。