オフィスけやき | 飲食店コンサルティングと販促物デザイン制作

こんにちは。立川の経営コンサルタント、コンサルティングオフィス欅の久米です。

今日は個人商店経営における商品開発についてです。
「ターゲットとなる顧客を設定し、その顧客のニーズにあった商品を提供するべし」
経営の教科書にはたいてい上のようなことが書かれています。でもこれは個人商店はやってはいけません。
なぜでしょうか。これは幾つか理由があります。
まずターゲットの規模が大きかった場合、あなたのお店の商品がヒットしたとしても競合店や大手企業がすぐに真似をします。そしてあっという間に泥沼の価格競争に陥ります。
次に、顧客のニーズはあまり尖ったものでないことが多く、それに合わせて商品を開発すると、顧客満足度では平均よりちょっと上程度のものしか作ることができません。またこれも競合店との価格競争に陥るはめになります。
そもそもこのやり方は、最大公約数的にマーケットを狙わざるをえない、大企業を対象とした一般論なのです。
ではどうすればよいか。その答えがシーズ志向です。シーズ志向というのは、「自店が提供できるものはなにか」というスタート地点から商品を考える、いわば自己中心的な考え方です。「オレはこれが売りたいんじゃい!」というやつですね。個人商店はこれにつきます。
この地域、もっと言うとこの世で自分にしか提供できないもの。もしそれを欲する人がいるとすれば、どんなに遠くても、ちょっとくらい値段が高くても買ってくれます。
「そんなこと言っても殆どの人が見向きもしないような商品だったら商売が成り立たないのでは?」 そう思う方も多いと思います。しかしそこは大丈夫。しっかりとアピールをすることさえできれば問題ありません。口コミが広がる仕掛けを用意し、インターネットという安価で優秀な広告ツールを使うなどすれば十分に商売を成り立たせることができます(よっぽど際どいものはダメですが)。
繰り返しとなりますが、大企業が作るようなもの、競合店がすぐに真似できるようなものを売るほうがよほど危険です。
シーズ志向の商品は口コミとの相性がいいです。人には「教えたい欲求」があるため、知る人が少ない優れた商品はこの教えたい欲求のパワーを得て、強烈な広がり方をします。さらに、口コミが広がり易くなるツールや、その商品に反応しそうなユーザー層へピンポイントでアピールできる方法を使うことができたらなお良いです。
またそこでしか買えない商品であれば商圏も広がるため、駅から離れた商店街だろうと何も気にする必要がありません。むしろ駅前の店舗と競合する機会が減るので有利ともいえます。
ということで、個人商店はニーズを追わず、シーズ志向で商品設計を見なおしてみてください。
万が一、「商品開発などしていないし、他店と違うものを揃えるなんてどうやったって無理だ」という場合でも最終手段があります。
店主であるあなたが商品になってください。あなたは自分で商売をやってしまうくらいの人ですからおそらく普通のサラリーマンよりは個性的で、押しも強いはずです。その個性をとにかく全面的にアピールしてください。そうすれば、たとえ商品が凡庸でも、あなたを気に入った人は、あなたのお店で買ってくれます。
今の時代、買い物に飽き飽きしている人が大勢います。「どうせ同じようなものを買うのなら、店主が面白い方の店で買おう」 そう思うのは自然なことです。
※この記事は飲食店以外のお店に当てはまる内容です。飲食店はシーズ志向では成功しません。

プロフィール

久米 収(くめ おさむ)

久米 収(くめ おさむ)

店舗紹介専門ライター / 地域メディアプロデューサー / 飲食店コンサルタント 株式会社エナゲピューラ代表 / オフィスけやき代表
1976年愛知県生まれ 一橋大学商学部卒
地域に愛されるお店がたくさん増えて、地域社会が活気あふれたものになるように、あれやこれやと活動中

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